膝の外側の痛みを繰り返さないための3つの視点
2026年10月5日
膝の外側の痛みを繰り返さないための3つの視点
金沢文庫駅徒歩1分のアクティブレスト整骨院です。
ランニングを習慣にしている方、週末にサイクリングを楽しむ方、部活動やクラブチームで走り込みの多い競技に取り組む学生の方から、「膝の外側だけがズキッと痛んで、走るペースを落とさざるを得ない」というご相談をいただくことがあります。膝の内部ではなく、外側のピンポイントで痛む。距離が伸びると悪化する。下り坂で特に響く。こうした特徴を持つ痛みは、パフォーマンスに直結するだけに、早めに向き合っておきたいポイントです。
今回は、太ももの外側から膝にかけて伸びる腸脛靭帯まわりに起こる不調、腸脛靭帯症候群について、最近発表された保存的なケアに関するシステマティックレビューをもとに、動ける身体を維持するための視点を整理します。痛みを我慢して練習を続けるのではなく、原因を把握したうえで対策を立てることが、結果的に競技を長く続けることにつながります。
腸脛靭帯症候群という状態
腸脛靭帯は骨盤の外側から太ももの外側を通り、膝のすぐ下まで伸びる帯状の組織です。膝の曲げ伸ばしを繰り返す動作の中で、この靭帯は太ももの骨の外側の出っ張りの上を前後に動きます。ランニングやサイクリングのように同じ動作を高い頻度で繰り返す競技では、この部分に摩擦や圧迫が積み重なりやすく、負担が蓄積することで痛みにつながっていきます。
今回参照したシステマティックレビューは、ランナーを対象にした13件の研究をまとめ、腸脛靭帯症候群に対してどのような保存的アプローチが検討されてきたかを整理したものです。ストレッチや筋膜へのケア、股関節周囲の筋力トレーニングなど複数の方法が比較検討されていますが、単一の方法が明確に優れているという結論には至っておらず、個々の状態に合わせて組み立てていく必要があると位置づけられています。急に痛みが取れる近道はなく、負荷のかけ方そのものを見直していく地道な作業が必要になるということでもあります。
パフォーマンスに影響する3つのポイント
1. 股関節の外転筋の働き
股関節を横に開く筋肉(中殿筋を中心とした外転筋群)がうまく働かないと、走行中に骨盤が反対側へ傾きやすくなり、着地のたびに膝の外側への負担が増えます。とくにフォームが崩れやすい後半のペースで、この傾向が強く出る選手は少なくありません。
2. 走行フォームと接地の癖
膝が内側に入りやすいニーイン気味のフォームや、歩幅が狭く接地時間が長いフォームは、腸脛靭帯への負担を増やす要因として挙げられています。下り坂での着地のコントロールも、痛みの出やすさに関わるポイントです。
3. トレーニング量の急な変化
走行距離やトレーニング頻度を短期間で大きく増やした場合、身体が負担に慣れる前に組織へのストレスが積み重なりやすくなります。大会前に距離を伸ばしたタイミングや、シーズン開始直後に痛みが出やすいのはこのためです。
こんなサインに心当たりは
- 膝の外側、お皿より少し上がズキッと痛む
- 練習の序盤は平気でも、距離が伸びると痛みが強くなる
- 下り坂やダウンヒルの走行で特に響く
- 押すと痛む場所がはっきりしている
- 練習量を減らすと落ち着くが、戻すとまた出てくる
これらに複数当てはまる場合、フォームやトレーニング負荷を見直すタイミングかもしれません。一つでも当てはまるなら、我慢して練習を続ける前に、一度身体の状態を確認しておくと安心です。
セルフチェックの一例
片脚立ちで30秒キープしたときに骨盤が横に傾かず保てるか、階段を一段ずつ下りる際に膝がぐらつかず支えられるか、この2点は自分でも確認しやすいポイントです。うまく支えられない場合、股関節の外転筋がトレーニング負荷に対して十分に働いていない可能性があります。膝そのものの痛みと合わせて、こうした支持力の低下がないかもチェックしてみてください。
膝の外側の痛みというと、変形性膝関節症や半月板損傷を思い浮かべる方もいますが、腸脛靭帯症候群では骨の出っ張り付近にピンポイントで痛みが出やすく、しゃがみ込みよりも走行中の繰り返し動作で悪化しやすいという特徴があります。自己判断で決めつけず、痛みの出方を確認したうえで対応を考えることが大切です。
放置して走り続けるとどうなるか
初期の段階では、練習の合間に少し違和感がある程度で済むことも多く、そのまま走り続けてしまう選手も少なくありません。しかし、負担のかかり方そのものを変えないまま同じ練習を続けると、痛みが出るまでの距離がどんどん短くなり、最終的には歩行にも影響が出るケースがあります。
痛みをかばうフォームに変わることで、反対側の脚や股関節、腰にまで負担が波及し、別の不調を引き起こすこともあります。パフォーマンスを落とさないためにも、違和感の段階で身体の状態を確認しておくことが、結果的に競技復帰への近道になります。
当院でのコンディショニングアプローチ
当院では、痛みの出るタイミングや練習内容、走行フォームの特徴を詳しく伺ったうえで、股関節や骨盤まわりの動き、片脚での支持能力、太もも外側の張り具合を確認します。競技特性やトレーニング環境も踏まえながら、今の身体の状態を客観的に把握することからスタートします。感覚だけに頼らず、動きを数値や写真で記録しながら経過を追うようにしています。
硬くなりやすい太もも外側や股関節周辺には手技によるアプローチを行い、あわせて股関節の外転筋を働かせるためのトレーニングや、フォーム改善に向けたアドバイスもお伝えします。競技復帰を焦って練習量を一気に戻すのではなく、痛みの出方を確認しながら段階的に負荷を上げていくプランを一緒に考えていきます。
自転車競技の方であれば、サドルの高さやクリート位置といったポジションの調整が負担の軽減につながる場合もあるため、競技ごとの動作特性も踏まえてコンディショニングの方向性を組み立てます。学生選手の場合は、練習スケジュールや大会日程に合わせて、無理のない範囲で調整していくことも意識しています。
※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。
リカバリーの視点も忘れずに
練習後のケアも、腸脛靭帯まわりの負担を管理するうえで重要な要素です。フォームローラーなどを使ったセルフケアや、股関節まわりのストレッチを練習前後の習慣に組み込むこと、練習量を増やす際は週ごとの増加幅を抑えることなど、日々の積み重ねが再発予防につながります。シューズの摩耗具合を定期的にチェックすることも、見落とされがちですが効果的な習慣の一つです。
サッカーやバスケットボールなど方向転換の多い競技でも、股関節の外転筋が弱いと切り返し動作の際に骨盤が安定せず、膝の外側に似た負担がかかることがあります。走る競技に限らず、繰り返しのステップワークがある選手も、練習後の張り感を放置せずケアしておくことをおすすめします。
まずは今の状態を確認しませんか
膝の外側の痛みを我慢しながらトレーニングを続けても、パフォーマンスの向上にはつながりにくいものです。早めに身体の状態を確認し、フォームやトレーニング内容を調整することが、長く競技を続けるための土台になります。大会が近いから、と後回しにしてしまう選手ほど、結果的に長い休養期間が必要になるケースを見てきました。気になる違和感があれば、一度当院にご相談ください。
まとめ
腸脛靭帯症候群は、股関節の外転筋の弱さやフォームの癖、トレーニング量の急激な変化など、複数の要因が重なって生じる不調です。今回ご紹介したシステマティックレビューでも、単一のケアではなく複数のアプローチを組み合わせて向き合う姿勢が重要だと示されています。膝の外側に違和感が出たら、我慢して走り続けるのではなく、早めにフォームとトレーニング内容を見直すきっかけにしてください。継続してトレーニングを積める身体の土台を作ることが、記録更新への一番の近道になります。
参考文献
Sanchez-Alvarado A, et al. "Effects of conservative treatment strategies for iliotibial band syndrome on pain and function in runners: a systematic review." Frontiers in Sports and Active Living, 2024.





