四十肩 五十肩


- 電車の吊り革や洗濯物干しまで腕を上げると痛い
- 頭を洗ったり腰の後ろでエプロンを結ぶのが辛い
- 夜中に疼く
- 痛みの箇所が変わる
- もう1ヶ月以上痛みが続いている
上記のような悩みをお持ちの方は、四十肩、五十肩かもしれません!
四十肩、五十肩は俗称であって、年齢と紐づいたものではありませんので20代でも30代でも発生します。
反対に60代でも70代でも発生します。(80代で50肩になった!私の肩年齢は50代だ!と自慢している方を見たことがあります笑 可愛いけども、喜べない案件です!)
正式名称は、肩関節周囲炎です。
ここではそんな四十肩、五十肩について見ていきましょう!
お話しの構成は
- 四十肩、五十肩ってどんなもの?原因は?
- 四十肩、五十肩を良くする上で大切なこと
の順番で進めて参ります。
四十肩、五十肩ってどんなもの?原因は?
では、まず四十肩、五十肩がどのような原因で発生し、どんな特徴があるのか、お話ししていきますね。
まずは特徴から。
特徴①

四十肩、五十肩でなんと言っても他の怪我と違うところは、治りにくさです。
通常、足首を捻ったり(捻挫)どこかにぶつけて青あざを作っても(打撲)、痛みは2週間ほどで引いてきますよね?
これは、炎症期という組織が傷ついて痛みを激しく出す期間が、通常は2週間〜3週間ほどだからです。
しかし、四十肩、五十肩はそうはいきません。
長いと1年、半年などと長引くことも少なくありません。
これは、人間の炎症のメカニズムから考えるとおかしいことなんです。
なぜ、このようなことが起こってしまうのか?
それは、痛くなった原因を良くしきることができず毎日毎分、微小な再受傷を繰り返しているからです。
ゾッとしませんか?
例えば捻挫なら、捻った足首を1年間、毎日1時間ごとに同じように捻り続ける。
打撲なら青タンを毎日1時間ごとに強くぶつけ続ける。
それはそれは、治るはずもないというものです。(しかも何ヶ月も再受傷のストレスをかけ続けてしまうと組織そのものが形を変えてしまい、変形や後遺症を残してしまうケースもあります)
四十肩、五十肩を長引かせず、なるべく早期に良くするには、そもそもの根本原因から治しきることが大切なのです。
特徴②
四十肩、五十肩にはフェーズ(段階)というものが存在しています。
フェーズは5つから構成されており
- ストレス期
- 炎症期
- 拘縮期
- 凍結期
- 回復期
となっております。
下に図を示します

まずは、ストレス期から説明します。
ストレス期は、正確にはまだ四十肩、五十肩にはなっていないけれど肩になんらかのストレスはかかっていますよ。という時期です。
ここから拗れていくと四十肩、五十肩になっていきます。
また、先ほどの根本にある原因はこの時点で既に存在しており、このあとどんなにフェーズが進んだとしても対応すべきはこのストレスです。
どのような兆候があると、肩にストレスがあると判断できるのか?
いくつか指標がありますが、わかりやすいものを3つご紹介します。
1つ目
手の甲を上にして肘を伸ばし、体の真横を通るように腕を上げていき腕が耳の横にぴったりつけられるかどうか。肩に詰まる感じの痛みや違和感があれば肩は正常ではないと言えます。
2つ目
「前へならえ」の姿勢から、両腕を外返しに捻っていく。
どちらかの腕が外返しになりにくかったり、痛みや違和感があればその肩は正常ではない可能性がある。
3つ目
片方の手で反対側の肩を触る。これで動かしている側の肩に痛みが出るようであれば正常ではないといえる。

1つも該当していないことを祈りますが、該当していた場合、なるべく早期に専門家にみてもらった方が良いでしょう。
お近くの方は我々にご相談ください!
この時期に対処すれば、時間もかからず綺麗に良くできることが多いです。
次に炎症期です。
炎症期はその名のとおり、方がストレスに耐えきれなくなっていよいよ炎症を起こします。
また、四十肩、五十肩は何度も微細な再受傷を繰り返し炎症を繰り返すため、この時期が長引く方が多いです。
特徴としては、夜間痛(夜寝るときに疼いたり痛みが強くなる)や激烈な方の痛み、肩が抜けそうな不快感を感じる方が多いです。全身の炎症となり顔面蒼白になったり、体調自体も悪化する方も多いです。
痛みで不眠になる方もいらっしゃいます。
一方で可動域(肩を動かせる範囲)は痛みで狭くはあるもののまだ中程度は動きます。
次に拘縮期です。
炎症期が長引くと、身体は危機を感じます。
炎症は体にとっても異常な状態なので、何ヶ月もおさまらないとなると、奥の手を出してきます。
「隔離」です。
人間の体は、細胞外マトリクスと呼ばれる膜のようなものを作り出し、肩関節の炎症を起こしている箇所を覆って、隔離しなおるまで正常な細胞組織と引き離しにかかります。
効果は抜群で、炎症はここからおさまっていきます。
比較的、早期にこの状態に行けた場合は特に問題はないのですが、炎症を大きく、そして長引かせ過ぎてしまった方には、ここでも問題が発生します。
炎症がおさまった後、うまく細胞外マトリクスを撤収できなくなってしまうのです。
本来は、組織に存在しない固い膜が残留するので動きが硬くなってしまいます。
炎症期を長引かせた方は、拘縮期も長引きます。(それでもできること、やるべきことは山ほどありますが!)
拘縮期の特徴は炎症が減り、痛みは前ほどではなくなるが、可動域はさらに狭くなり固まることです。
夜間痛がおさまったり、痛みが少し落ち着いたり、顔色が良くなってきたら炎症期を乗り越えて拘縮期に入ってきたと言っていいでしょう。
動きが固くなったことに対して、悲観的になりすぎなくてOKです。
先ほどもお伝えした通り、四十肩、五十肩は流れがあり、炎症期まで一度レールに乗ってしまったら流れは飛ばされることなく順番通り、炎症期→拘縮期→凍結期→回復期と進みます。
回復期に一歩近づいている証拠でもあるので安心してください。
その次に来るのが凍結期です。
凍結期は痛みはほとんど引いたものの、可動域がまだ戻ってこない時期のことです。
この時期は炎症はおさまり、細胞外マトリクスの撤収をしている時期ですが、炎症が大きく、拘縮も強かった方ほど長引く傾向にあります。
先ほどの拘縮期と、この凍結期はそれでも回復を早めるためにやるべきことがあります。
それは後ほどご説明いたします。
最後に回復期です。
細胞外マトリクスが吸収されて、可動域が戻ってきます。(完全ではないこともあります)
しかし、ここで安心してはいけません。
痛みもなくなり、可動域も戻ってきたからこそ、最初の肩のストレスを取り切ることを徹底すべきです。
多くの場合、細胞外マトリクスの隔離によって炎症をひかせているだけで、根本の原因は残っているケースが多いので四十肩、五十肩は再発が多いのです。
もう長い期間の痛みは御免ですよね?
と、ここまでが四十肩、五十肩の特徴とフェーズのお話しでした。
ここからは 四十肩、五十肩を良くする上で大切なこと についてお話ししていきましょう。

四十肩、五十肩を良くする上で大切なこと
ここではフェーズによって、簡単にまとめてお話ししていきます。
ストレス期
ストレス期に大切なことはこの段階でいかに良くしきるか!ということです。
炎症期までレールに乗ってしまえば、その後はフェーズに沿って回復していくため時間が果てしなくかかります。
ストレス期に対策するのが最もコスパが良いわけです。
とは言えストレス期にかかっているストレスにも種類があり、ここで一概にここに気をつけましょう!と言えるほどシンプルではありません。
できる範囲のアドバイスとしては、ストレスを感じる肩を下にして寝ないこと。
ストレスを感じる動きを無理やり反復しないこと。
そしてできるだけ早期に専門家に相談すること(これはどのフェーズでも推奨)です。
炎症期
この時期に意識すべきことは全体を通して炎症をいかに小さく抑えるか。です。
炎症の大きさはこの後の拘縮の強さと比例します。
炎症期は再受傷の頻度を最小限にするために施術によってストレス期のストレスの緩和と注意すべき動きの明確化を行い、日常生活で注意していきます。
また、全身の栄養状態や水分の摂取状況、睡眠など、傷ついた組織の回復のための回復力に対する対策についても話し合いましょう。
拘縮期 凍結期
拘縮期に入ったら焦って無理やり動かして炎症期に逆戻りすることがないように慎重に可動域を保ちましょう。
ここから凍結期にかけてやるべき作業は 組織のリリース です。
靭帯や筋肉の癒着部位から少しずつリリースを行い、動いていなかった肩周辺の筋肉を少しづつ動かしましょう。
回復期
ここまで来れば一安心。お疲れ様でした!
しかし前述した通り、肩のストレスが取りきれていない方は油断せず、しっかり対策をしましょう。
いかがでしたか??
四十肩、五十肩はフェーズによってやるべきことも注意点も異なるものです。
もしご自身や周りの方でお悩みの方がいらっしゃるようでしたら、お気軽にご相談くださいね!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。