坐骨神経痛があっても、動きの質は落とさない
2026年10月13日
金沢文庫駅徒歩1分のアクティブレスト整骨院です。
トレーニングやランニングの合間に「腰よりも脚のしびれが気になる」と相談に来られる方が増えています。スクワットでしゃがみ込んだときに片脚だけピリッとする、デスクワークの後にジョグを始めると脚が重だるい——そうした感覚を抱えたまま無理を続けると、フォームそのものが崩れていくこともあります。今回は、腰椎椎間板ヘルニアによる神経根症状に関する最新の研究を紹介しながら、トレーニングとの付き合い方を考えてみます。
椎間板ヘルニアと神経根症状の基礎知識
背骨のクッションである椎間板が神経の根元(神経根)に触れると、腰よりも脚やお尻、足先にしびれや痛みが伝わることがあります。坐骨神経痛と呼ばれる状態に近く、トレーニング中の踏ん張りや着地の衝撃で症状が強まりやすいのが特徴です。競技や運動を続けている方ほど、「腰は平気だから大丈夫」と見過ごしてしまいがちですが、脚のしびれは腰にかかっている負担のサインとして現れていることが少なくありません。
デスクワークとトレーニングを両立している方の場合、日中の座り姿勢による負担と、トレーニング中の負荷が重なって症状が出やすくなることもあります。
練習を休むほどではないと感じていても、フォームの微妙な変化として現れていることも多いため、周囲から「動きがいつもと違う」と指摘されたときは注意しておきたいところです。
こんなサインは見逃さない
- スクワットやランジで片脚だけ力が入りにくい
- ランニング中、太ももの裏から膝にかけてビリビリした感覚が出る
- デスクワーク後のウォームアップで、脚のしびれが抜けにくい
- つま先立ちや片足立ちが安定しない
- 練習の翌日、しびれが前より広い範囲に感じる
- ジャンプの着地で片脚だけ踏ん張りが利かない
研究データが示す徒手療法の可能性
2026年にMedicina誌に掲載されたLytrasらのランダム化比較試験では、腰椎椎間板ヘルニアによる神経根症状を持つ患者を対象に、徒手療法単独のグループと、徒手療法に機能的磁気刺激を組み合わせたグループの経過を比較しています。評価されたのは、痛みの強さ、神経特有のピリピリ感、神経の過敏な反応、動作の制限という4つの指標です。
結果、刺激を組み合わせたグループのほうが、この4つの指標すべてで、より大きな改善が報告されました。当院に機能的磁気刺激の設備はありませんが、この研究の土台となっている、関節や筋肉への手技を軸にしたアプローチは、負荷をかける前の身体の状態を整えるという点で、トレーニング前後のコンディション調整とも重なる部分があります。研究結果は特定の設備がなければ意味がないというものではなく、手技によるアプローチ自体に一定の変化をもたらす可能性があることを示している点に注目したいところです。
フォームや生活習慣が与える影響
神経根症状は、フォームの崩れや姿勢のクセと無関係ではありません。たとえば、デッドリフトやスクワットで腰を丸めたまま挙げてしまう癖がある方、長時間のデスクワークで骨盤が後ろに倒れた姿勢が続いている方には、椎間板への負担が集中しやすい傾向があります。
以前来院された20代のランナーの方は、疲労が溜まったフォームのまま距離を伸ばしていたところ、片脚のしびれが強まっていました。フォームを整え、練習量を一時的に調整したことで、走行距離をゼロにせずに済んだケースもあります。また、デスクワーク中心の30代の方は、週末だけまとめて高強度のトレーニングを行う習慣があり、平日の姿勢の崩れが週末の負荷と重なって症状が出やすくなっていました。平日にこまめに身体を動かす時間を作るようアドバイスしたところ、練習中のしびれの出方に変化が見られました。
パフォーマンスへの影響を放置すると
しびれを我慢しながらトレーニングを続けると、かばい動作が定着し、股関節や膝への負担が連鎖的に増えていきます。記録の伸び悩みや、フォームの左右差として現れることもあります。片脚をかばう動作が習慣化すると、反対側の関節に新たな痛みが出てくることも珍しくありません。
※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もありますので、しびれの範囲が急に広がったり、力が入らない感覚が続いたりする場合は、無理をせずご相談ください。
アクティブレスト整骨院でのアプローチ
当院では、まず日常の動作やトレーニング内容を伺い、股関節や骨盤まわりの可動性、フォームの癖を確認します。そのうえで、腰椎まわりの筋緊張をゆるめる手技と、神経の通り道への負担を減らす股関節へのアプローチを組み合わせて行っています。
あわせて、練習前後のコンディション管理として、ウォームアップやクールダウンの内容を一緒に見直すこともあります。回復のペースに合わせて負荷を調整しながら、動きの質を取り戻していくことを目指しています。競技特性や目標とする大会の時期に合わせて、無理のないスケジュールを一緒に考えることもあります。
ご来院される方の特徴
当院にこの症状でいらっしゃるのは、ランニングや球技を続けている20代から40代の方が中心ですが、週末だけまとめて運動する社会人の方や、デスクワークと筋力トレーニングを両立している方も多くいらっしゃいます。共通しているのは、日中の座り姿勢とトレーニング時の負荷が積み重なりやすい生活パターンです。トレーニングの頻度や強度を伺いながら、無理のない範囲で調整をご提案しています。
段階的に競技へ戻るために
しびれが落ち着いてきた段階でも、いきなり以前と同じ強度のトレーニングに戻すと、再び症状がぶり返すことがあります。当院では、痛みやしびれの出ない範囲でのウォーキングや軽いジョグから始め、フォームを確認しながら少しずつ強度を上げていく流れをおすすめしています。股関節の可動域を広げるドリルや、体幹を安定させるトレーニングを取り入れることで、腰椎への負担を分散させやすくなることもあります。目安として、翌日にしびれや痛みが強まっていないかを確認しながら段階を進めることが、遠回りに見えて結果的に競技復帰への近道になるケースを多く見てきました。
トレーニング内容を伺うときに大切にしていること
当院では、種目や競技レベルにかかわらず、まず普段のトレーニング頻度や強度、直近で変えた点(シューズ、走る距離、重量設定など)を詳しく伺うようにしています。症状が出始めた時期と、生活やトレーニングの変化が重なっていることは多く、そこにヒントが隠れていることが少なくありません。フォームのクセは自分では気づきにくいため、可能であれば実際の動作を見せていただき、しゃがみ込みや片脚立ちなどの簡単な動きから、負担のかかりやすい部分を確認しています。
相談のタイミング
「これくらいのしびれで練習を止めるのはもったいない」と感じる方も多いのですが、しびれを抱えたまま負荷を上げ続けると、回復までの期間が長引くこともあります。早い段階で状態を教えていただくことが、競技を続けるうえでの近道になることもあります。
今日から意識したいこと
腰椎椎間板ヘルニアによる神経根症状は、フォームや生活習慣の積み重ねと関わりながら現れます。研究の結果からも、手技を軸にしたアプローチが症状の変化に関わりうることが示されてきています。競技を長く続けるためには、痛みやしびれを気合いで乗り切るのではなく、フォームと身体の状態を定期的に見直す習慣そのものが、パフォーマンスを支える土台になります。しびれを我慢して続けるのではなく、フォームと身体の状態を一度見直してみてください。
参考文献
Lytras D, et al.「Short-Term Effects of Manual Therapy Combined with Functional Magnetic Stimulation in Individuals with Lumbar Disk Herniation with Radiculopathy: A Randomized Clinical Trial」Medicina (Kaunas). 2026. PMID: 41752649. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41752649/





