側弯と姿勢、今のうちに知っておきたい3つの視点

2026年08月27日

金沢文庫駅徒歩1分のアクティブレスト整骨院です。

部活動の集合写真を見返したとき、「あれ、この子だけ肩のラインが違うな」と気づいたことはありませんか。あるいは、ユニフォームの背中側の生地が、片方だけピンと張っている。本人にとっては痛みもなく、プレー自体にも支障がないため、見過ごされがちな変化です。今回は、思春期特発性側弯症という背骨のねじれと、成長期の体づくりについて、最新の研究をもとに整理していきます。

側弯と姿勢、まず押さえておきたい3つの視点

1つ目は、側弯症の多くは軽度にとどまり、日常や部活動を続けながら経過を見ていける点です。2つ目は、それでも成長期はカーブが変化しやすい時期であり、定期的なチェックに意味がある点です。3つ目は、仮に手術という選択肢が必要になった場合でも、事前の体づくりが術後の回復に関わってくる可能性があるという点です。この3つを踏まえたうえで、詳しく見ていきましょう。

側弯症とは、背骨が左右に弯曲し、ねじれを伴って発達する状態のことです。思春期に起こるタイプは原因がひとつに特定されておらず、成長のスピードと骨格の特徴が関係していると考えられています。身長が一気に伸びる成長期は、骨の伸びに対して、それを支える筋力や柔軟性の発達が追いつきにくく、フォームやバランスの左右差として表面化しやすい時期でもあります。統計的には女子に多い傾向があり、進行の度合いには個人差があります。

フォームの崩れとして現れることも

競技をしているお子さんの場合、側弯の兆候は姿勢の左右差だけでなく、フォームの崩れとして表れることがあります。

  • 構えたときに肩の高さが左右で違う
  • ランニングフォームが片側に流れやすいと言われる
  • 片方の肩甲骨だけが浮いて見える
  • 前屈すると背中の片側だけが盛り上がる
  • 長時間のデスクワークや自習で座っていると姿勢が保ちにくい
  • 呼吸が浅く、スタミナの続きにくさを感じることがある

これらはひとつだけで側弯症と判断できるものではありません。ただ、複数当てはまる場合や、フォームの左右差が気になる場合は、一度体のバランスを確認しておくと安心です。

セルフチェックの方法としては、両足をそろえて自然に立ち、後ろから肩の高さ・肩甲骨の出っぱり方・ウエストのくびれの左右差を確認します。続けて、両手を合わせるようにゆっくり前屈し、背中を横から見て片側だけが盛り上がっていないかをチェックしてください。トレーニング後の疲労で姿勢が崩れていることもあるため、練習前の落ち着いたタイミングで確認するのがおすすめです。

研究データが示す、事前の体づくりの意味

2026年にヨーロピアン・スパイン・ジャーナル誌に掲載されたシステマティックレビューでは、思春期特発性側弯症の手術を控えた患者を対象に、手術前の運動プログラム(プレハビリテーション)の効果がまとめられています。この報告によると、術前に体力や呼吸機能を高める運動に取り組んだグループは、術後の回復過程で良い傾向がみられたことが整理されています。試合前に体を仕上げていくコンディショニングの発想と同じように、手術という大きなイベントの前にも、体の土台を整えておくことが回復力に関わってくる可能性がある、というわけです。

この研究の対象は手術予定の患者ですが、私たちが注目したいのは「大きな出来事の前ほど、事前の準備がものを言う」という考え方です。これはスポーツにおける試合前のコンディション管理と、根っこの部分でつながっています。

なお、レビューの著者らは、対象となった研究の数や規模がまだ限られており、どのくらいの期間・強度の運動が最も効果的かは今後さらに検証が必要だとも述べています。ひとつの報告を鵜呑みにせず、「事前の準備には意味がありそうだ」という方向性として受け止めていただくのが適切だと考えています。

生活習慣と体の使い方のクセ

利き手側ばかりでラケットやバットを振る、片方の肩にだけバッグをかけて通学する、長時間のデスクワークで背中を丸めたまま座り続ける。こうした習慣の積み重ねは、側弯症そのものの直接的な原因と言い切れるものではありませんが、体の使い方のクセとして姿勢バランスに影響すると考えられています。とくに成長期は骨や関節がやわらかく、フォームのクセが体に定着しやすい時期でもあります。動ける身体を長く保つためには、この時期の体の使い方に目を向けておくことが重要です。

そのままにしておくとどうなるか

軽度のカーブであれば、パフォーマンスへの影響は限定的なことが多いです。しかし成長期にカーブが進むと、呼吸のしやすさや体幹の安定性が損なわれ、フォームの崩れやスタミナの低下につながることがあります。大人になってから、慢性的な腰や肩の張りとして残るケースも報告されています。早めに気づき、体の状態を把握しておくことが、その後の競技生活を含めた選択肢の広さにつながります。とくに成長期にケガや体調不良が重なると、フォームの崩れがさらに進みやすくなるため、気になる変化は放置せず、早い段階でチェックしておくことをおすすめします。

アクティブレスト整骨院でのアプローチ

当院では、まず立位・前屈時の姿勢チェックを行い、肩や肩甲骨、骨盤の左右差、股関節や胸郭の可動域、体幹の筋力バランスを確認します。そのうえで、フォームの崩れにつながりやすい部位のモビリティを引き出す施術と、体幹を安定させるためのエクササイズを組み合わせてご提案します。リカバリーの一環として、練習後の呼吸トレーニングやストレッチも取り入れながら、動ける身体の土台をコンディショニングしていきます。

具体的には、プランクのような体幹保持のトレーニングを、フォームを崩さずに続けられる範囲で取り入れたり、股関節や胸まわりの可動域を広げるダイナミックストレッチを練習前後に組み込んだりします。競技によって使う筋肉や動きのクセは異なるため、種目や練習頻度に合わせて内容を調整し、無理なく継続できることを優先しています。

「プレハビリテーション」という考え方をご存じでしょうか。手術やケガの前後だけでなく、大きな大会や新しいシーズンを迎える前に、あらかじめ体の状態を整えておくという発想です。今回の研究が示した「事前の備え」の価値は、まさにこの発想と重なります。

なお、カーブの角度など医学的な診断には画像検査が必要です。当院での確認は姿勢や身体機能の範囲にとどまりますので、進行が疑われる場合は整形外科の受診を優先してご案内しています。※状態によっては医療機関での検査をおすすめする場合もあります。

トレーニングでよくいただく質問

「体幹トレーニングを続ければフォームの左右差は改善しますか」という質問をよく受けます。体幹まわりの筋力バランスを整えることは、フォームの安定やパフォーマンス維持に役立つと考えていますが、骨格そのもののカーブへの影響は、お子さんの状態によって異なります。過度な期待をせず、まずは今の体の状態を把握することを優先していただきたいと思います。

「大会前でも運動を続けて大丈夫か」という相談も多くいただきます。軽度の側弯であれば、運動量を大きく制限する必要は基本的にありません。ただし、フォームの左右差が目立つ場合は、練習メニューの組み方について、チームのスタッフとも情報を共有しておくと安心です。

気になったら早めにご相談を

集合写真での違和感、フォームの崩れの指摘、部活動の顧問からのひとこと。きっかけは何でも構いません。痛みがないからと後回しにせず、気になったタイミングで一度体の状態を確認しておくことをおすすめします。競技を続けるお子さんだけでなく、デスクワーク中心の大人の方の姿勢相談も承っています。

まとめ

思春期特発性側弯症は、痛みを伴わずに進行することがあるため、フォームや姿勢の変化に気づくことが早期発見のきっかけになります。今回ご紹介した研究は手術を控えた患者を対象としたものでしたが、事前の体づくりが回復力に関わる可能性を示す内容であり、日頃からのコンディショニングの大切さを改めて考えさせてくれるものでした。定期的な姿勢チェックを、日々のトレーニングの一部として取り入れていただければと思います。

参考文献

Tam TH, et al. "Prehabilitation and preoperative exercise in adolescent idiopathic scoliosis surgery: a systematic review." European Spine Journal, 2026. PMID: 42053791. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42053791/

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