筋肉が慢性的に硬くなる理由― 血流・代謝・神経から読み解く身体の仕組み ―アクティブレスト整骨院

2026年03月6日

筋肉が慢性的に硬くなる理由
― 血流・代謝・神経から読み解く身体の仕組み ―
アクティブレスト整骨院

神奈川県横浜市金沢区金沢文庫駅から徒歩1分の接骨院・整体院。アクティブレスト整骨院です。

肩や腰、背中の張り感や違和感を「筋肉が硬い」と表現することは多いですが、その背景は単純な筋肉疲労だけでは説明できないことが多くあります。

近年の研究では、筋肉の状態は
• 血流
• エネルギー代謝
• 自律神経
• 局所の炎症環境

など複数の要素が関与している可能性が示されています。

今回は、筋肉の慢性的な硬さが生じる背景について、研究報告を参考にしながら少し専門的な視点から解説していきます。

筋肉の硬さを説明する「エネルギークライシス」

筋膜痛研究の分野では、筋肉の硬さやトリガーポイントを説明する概念として

Energy Crisis(エネルギークライシス)

という考え方があります。

これは
1. 筋肉が長時間働く
2. 筋肉内の血流が低下
3. 酸素・エネルギー供給が不足
4. 筋肉が弛緩しづらくなる

という循環が生じる可能性を示した仮説です。

トリガーポイント研究では、痛みを伴う筋部位では
• ブラジキニン
• Substance P
• CGRP
• セロトニン

つまり筋肉の硬さは単なる「凝り」ではなく、局所の生化学環境の変化が関係している可能性があります。

姿勢筋は常に働いている

人の身体には「姿勢を保つための筋肉」があります。

例えば
• 僧帽筋
• 脊柱起立筋
• 腰方形筋
• 中殿筋

などです。

これらは立つ・座る・歩くなどの日常動作で常に働いています。

筋肉が収縮すると筋内圧が上昇し、毛細血管が圧迫されることがあります。

研究では

ことが示されています(Sjøgaard et al., 1988)。

血流が低下すると
• 酸素供給低下
• ATP産生低下
• 代謝産物の蓄積

などが起こりやすくなります。

筋肉のエネルギー源「筋グリコーゲン」

筋肉の活動にはATPというエネルギーが必要です。

そのATPを作る主要な材料の一つが

です。

筋グリコーゲンは
• 解糖系のエネルギー供給
• カルシウム調節
• 筋収縮機能

などに関与します(Ørtenblad et al., 2013)。

また、筋グリコーゲンは水分と結びつきやすく

1gのグリコーゲンは約3gの水と関連する

と報告されています(Shiose et al., 2022)。

そのため筋グリコーゲンが低下すると

筋細胞内の水分状態や代謝環境にも影響する可能性があります。

筋グリコーゲンは局所的に減少する

筋グリコーゲンの特徴として

使われた筋肉で局所的に減少する

ことが知られています。

つまり
• 同じ姿勢を続ける
• 特定の筋肉を使い続ける

場合、その部位のエネルギー消費が大きくなります。

これは肩こりや腰の張りが

特定の場所に集中する理由の一つ

として考えられています。

血糖と筋肉の関係

筋グリコーゲンの回復には
• 糖質摂取
• インスリン作用

が関与します(Ivy, 1988)。

また低血糖状態では
• アドレナリン
• ノルアドレナリン
• コルチゾール

などのホルモンが分泌されます。

することが示されています(Hoffman et al., 1994)。

交感神経が強く働くと
• 血管収縮
• 血流低下

が起こる可能性があります。

このような環境では筋肉の回復が遅れる可能性が考えられます。

ただし、低血糖が直接筋肉の硬さを引き起こすという明確な証拠は現在のところ限定的です。

筋肉の状態には個人差がある

同じ仕事や姿勢でも
• 肩こりになりやすい人
• ほとんど感じない人

がいます。

この差には以下の要素が関係すると考えられています。

持久運動トレーニングでは

毛細血管密度が10〜30%増加

すると報告されています(Prior et al., 2004)。

毛細血管が多い筋肉は
• 酸素供給が良い
• 代謝物除去が早い

という特徴があります。

筋細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアは

持久運動により

40〜50%増加

することが報告されています(Holloszy, 1967)。

ミトコンドリア量が多い筋肉はエネルギー産生能力が高くなります。

まとめ

筋肉の慢性的な張りや違和感は

単純な筋肉疲労だけではなく
• 血流
• エネルギー代謝
• 神経調節
• 生活習慣

など多くの要素が関係している可能性があります。

身体の状態を整えるためには
• 適度な運動
• 睡眠
• 食事
• 姿勢の見直し

など生活習慣全体を考えることも重要です。

参考文献

Shah JP, et al. Biochemicals associated with pain and inflammation in myofascial trigger points. Arch Phys Med Rehabil. 2005;86:533-539.

Ørtenblad N, Westerblad H, Nielsen J. Muscle glycogen stores and fatigue. J Physiol. 2013;591:4405-4413.

Shiose K, et al. Muscle Glycogen Assessment and Relationship with Body Hydration Status. Nutrients. 2022;15:155.

Ivy JL. Muscle glycogen synthesis before and after exercise. Sports Med. 1988;5:345-364.

Hoffman RP, et al. Hypoglycemia increases muscle sympathetic nerve activity. Diabetes Care. 1994;17:673-680.

Sjøgaard G, et al. Intramuscular pressure, EMG and blood flow during low-level static contraction. Eur J Appl Physiol. 1988;57:86-91.

Prior BM, et al. Exercise-induced vascular remodeling. Exerc Sport Sci Rev. 2004;32:53-58.

Holloszy JO. Biochemical adaptations in muscle. J Biol Chem. 1967;242:2278-2282.

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